私(森山)は30年以上前、教員として辞令交付式に臨んだ。期待と希望に胸踊る中、式が終わって赴任先の学校に行ったが、校長室で私を待っていたことばは「おめえ、来年は特殊学級(障害児学級)だからな、特殊学級だからな」という数回に及ぶ恫喝だった。

 教員社会に疎かった私は、何でこういう言い方をするんだろう、と思いつつも「はい」と返事をした覚えがある。

 最初の1年は、小学校4年生担任として、素晴らしい、最高の時を過ごすことができた。そして2年目、私は特殊学級の担任になった。相変わらず意欲満々だったが、しかし・・・私は、結局、教員との関係で このままでは心が非常に危ない と3年で教員を退職した。

 一方、同じ市に両親ともに校長の同期がいたが、周囲の対応はそれはもう・・・という感じで、公務員なのに、と思い、世の理不尽さを早々に嘆いた。

 その後私は アルバイト → 大企業 → 起業 → 大企業 → ベンチャー企業 → ベンチャー企業 と経験し、執行役員だったベンチャー企業が倒産して取締役が会社にいなくなった時は、時には非常に危ない方々と対峙しながら、しかし応援してくださる方々もいて、しっかり後処理を行った。

 1990年前後の バブルの熱狂 その後のバブル崩壊、しかし、1990年代後半からの新産業革命ともいえるインターネットが登場したことにより、ネットバブルの熱狂、しかし、ライブドア事件に象徴されるネットバブル崩壊を経験した。

 倒産した会社のコンテンツを中堅企業に売却し入社、しかしコンテンツは継続されず、1年あまりでリストラされた。以後、職探し、起業の模索、1~3ヶ月更新の契約社員・派遣社員の繰り返しで10年が過ぎた。

 非正規は、起業した会社の継続が難しくなった後1990年代半ばに派遣社員を約1年したことがあるが、その時はあくまで起業した会社の継続に未練があってのことだった。事業を諦め、正社員を探すとすぐに複数の内定を得た。

 2000年前に大企業の正社員をリストラされたが、ITバブル全盛ですぐにまた正社員になれた。2000年がITバブル崩壊の年とされていたりするが、それは大企業の話。その頃はまだまだネットベンチャーが次々と誕生して成長して熱かった。ベンチャー企業正社員になり、転職し、ベンチャー企業正社員から執行役員になり企業を動かした。しかし、ネットバブル崩壊後の2008年あたりからは、もういけなかった。

 職探し中は、ハローワーク、人材銀行(管轄はハローワーク)、ネット、新聞、新聞ちらし、求人雑誌などありとあらゆる方法を使って応募したが、面接にすらなかなかたどりつけない状況 だった。

 ハローワークで、40歳代、50歳代の年齢を入力して、1ヶ月以内に受理されたその年齢で応募可能な「東京及びその近隣」のフルタイム求人を検索すると、4万件、5万件、あるいはそれ以上の求人があると出てくる。そのほとんどが40代、50代でも応募可能ということになっている。つまり、「中高年でも仕事は十分にありますよ」というデータだ。しかし、本当にそうなのか

 しかし、それは著しく実態が伴っていない数字ではないのか。多くの中高年は、求職活動に疲れ、世の中から見捨てられた気分でいるのではないか。

 一方、新聞やちらしには中高年歓迎の「委託」の仕事がよく掲載されている。しかしその内容は、「委託」というシステムにあぐらをかいた本当にひどいものが多い。例えば、自家用車を実質「会社の営業車」として使い、カソリン代、車の保険代などの諸経費も自己負担で激安の委託料で働く・・・差し引き時給300~400円、車の修理が必要になれば赤字となることも多いだろうという「求人」。

 そこで私は、2013年4月、シルバー人材センターならぬ任意団体中高年人材センターを立ち上げることにしたのである。月に1回~2回、アイデアの発表会や懇親会を行ってきたが、法人として活動する方が行政への提案など様々な活動やりやすいのではと思い、その事務を行い、2015年2月にNPO法人として東京都に認証され、翌月登記してNPO法人職業創造センターとなった。

 概ね40歳から64歳の人は、行政から市民団体まで、本当に支援がない。自殺者も他の世代より多い。しかし、敗者扱いされている中高年にも「今さら」と言われようが、夢や希望をもてるようにし、孤立化を防ぐべきだろう。

 そもそも私は敗者扱いだが、社会人デビューは小学校教師で、自分で言うのも何だが、人気・実力を備えていたと思っている(笑)。若い時に実力がなかった、根性がなかった、努力が足りなかったのいうのは違う、と思っている。

 NPOの役割は社会を変えること、その役割を担っていきたいと考えている。

NPO法人職業創造センターのご紹介です

当NPOが取材されました(2018年6月20日時点)

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